2009年10月01日

竹中暉雄『エーデルヴァイス海賊団―ナチズム下の反抗少年グループ』勁草書房 2,800円

  少年向けの冒険小説に出てくるみたいな名前だろう。しかもこの海賊団のメンバーは十四歳から十八歳の少年少女たちだったと聞けばますます冒険小説的なロマンを感じて妙にわくわくするではないか。しかし、これは虚構ではなく、おそらくは教育関係者ならば知っておいたほうがいい「史実」なのである。
 このエーデルヴァイス海賊団はナチ支配下のドイツでナチが組織したあのナチ青少年団、ヒットラー・ユーゲント(HJ)を震えあがらせ、泣く子も黙るといわれたゲシュタポ(秘密国家警察)を散々てこずらせた少年たちであったというからいったいどんな連中だったか興味がわくではないか。
 まずは彼らのファッション。色つきの旅行シャツ、革の半ズボン、白い折り返しソックス、ネッカチーフ、そして目印になるエーデルヴァイスの徽章を襟につけていたとされる。そのシャツもスコッチ風タータンチェックなんかが好まれたという。髪は長髪であった。ちょっとおしゃれでかなり目立つファッションであることはまちがいない。そんな格好で彼らはギターを携えてワンダーフォーゲル旅行(その頃は禁止されていた)を敢行し、集まっては独特の歌を歌っていた。そしてヒットラー・ユーゲントの指導者やパトロール隊を見つけては襲撃しボコボコにたたきのめしていたのである。何故に彼らはHJと敵対したかというと、彼らの余暇の時間にまで干渉してくるHJの存在が許せなかったという実にわかりやすい理由に基づいている。
 ゲシュタポが彼らを捕まえようとしてもなかなか難しかった。彼らは特定の指導者を持つ組織ではないからだ。ただ同じようなファッションをしている少年少女というだけにすぎなかったからである。その目印のエーデルヴァイスの徽章は旅先の土産物店で誰もが手に入れられるものであったから取り締まりのしようがなかったというのだ。そして仲間のことはぜったいにチクらない。何とも痛快な連中ではないか。
 重要なことは彼らは政治的にナチにしたのではない。ヤナ奴だからナチにしたのである。その意味で彼らは社会的には「不良少年」でしかかないのかもしれない。しかし、それは適当な理屈をつけてナチに協力していった(日本で言えば軍部に協力していった)おとなたちややがてはそうなっていったおりこうさんたちよりははるかに人間らしかったのではないだろうか。
 で、ヤナ教師やウルセエ親やワケノワカランおとなにしている君!ひょっとしたら君らのはすごく正しいのかもしれないな。

◎もできないヤツにやができるかってんだ。悪ガキってのは実は時代を救うヒーローなんだな。
    ★★★★


posted by ウィンズ at 14:47| 福岡 ☁| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください