2009年09月30日

『人権の視点から総合学習をつくる』福岡市同和教育研究会人権教育の創造研究専門委員会編福岡市同和教育研究会

 新学習指導要領の実施が刻々と迫っているんだけど、みんな頭を悩ませているのが総合的な学習だろうね。いろいろ総合的な学習の試みをしてみてもありふれた調べ学習の域を出なかったり、ただのお遊びに終わってしまったりして困るんだよな。ほんとうに「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること」ができるのだろうかと不安になってしまうのではないだろうか。まして「学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自らの生き方を考えることができるように」(以上引用は『学習指導要領』総則)なんて私たち教師でもできそうにないことを総合的な学習は求めているのだから、途方に暮れてしまうよね。
 しかも、同和教育が幅広く人権教育を守備範囲に入れつつあるこんにち、総合的な学習の時間は新たな同和教育・人権教育の展開の場でもあるわけだな。てゆーか、総合的な学習ちゅうのはその筋の人に言わせれば「生きる力」を育てるもんなんだと(中留武昭『総合的な学習の時間―カリキュラムマネジメントの創造』教育課題研究会発行 日本教育綜合研究所製作 二〇〇一 ←けっこう役に立つよ!)。で、「生きる力」と言えば同和教育にはあの「解放の学力」があったじゃないの。そんなわけで(なんかこじつけみたいだけど)、同和教育の視点に立った総合的な学習は作れんもんかねえ、というのがおそらくは実直な読者諸氏の熱望していたものじゃないだろうか。
 話は変わるけど、福岡市同研では一九九九年から部会をやめて五つの専門委員会(部落史学習、『ぬくもり』、人権教育の創造、学校づくり、「授業と学力」)をつくり、いわば「新しい人権のステージ」の幕を前世紀末に開けていたんだと。福岡市のセンセイたちはよく知ってるよね。その三年間の最初の成果が同和教育クローズアップシリーズとなって出たということなのだ。
 その①がなんと『人権の視点から総合学習をつくる』なんだ!これは人権教育の創造専門委員会の研究成果だそうだ。福岡市内の小中学校の教師たちが論議を重ねて創り出した総合的な学習の実践プランが満載されている。しかも共同研究者が異文化間教育とやらいう分野で今や福岡きって、いや全国的にもバリバリの実力者だと評判の高い九大の吉谷武志さんなのだ。当然国際理解系のプランには強い。アジア学習のおもろいプランがありまんがな(噂によると吉谷さんは関西人らしい)。それだけやない。環境、情報、福祉・健康といった学習指導要領が例示している各領域をしっかり「人権の視点から」考えたプランが詰まっとるんや。こいつは手元に一冊ゲットしておかなあきまへん。使い勝手のいい一冊でっせ。

  ★★★★
 あんまりこの本がようでけてるさかい、そっくり真似せんで自分でもひとつふたつええプランを造らんと教師自身が「創造的に取り組む態度」を忘れてしまいまっせ。
 おお、吉谷はんの関西弁が移ってしもうた。ほんまかいな。


posted by ウィンズ at 11:10| Comment(0) | 教育及び教育問題 | 更新情報をチェックする
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